君の涙ドナウに流れ ハンガリー1956

1956年。ハンガリーの首都ブダペストでは、ハンガリー独立学生連盟が自由を求めてデモを行い、当局と衝突していた。政治に興味のない水球選手のカルチだったが、集会で女学生ヴィキと出会う。10月23日に行われたデモ。その中にデモ隊を導くヴィキの姿があった。カルチはヴィキを追い、一緒に国会議事堂へと向かう。突然の銃弾にカルチの古くからの友人イミが倒れ、一気に暴動が広がった。水球チームのオリンピックに向けての合宿に参加するが、カルチは街中で手当たり次第に殺さる人々を目の当たりにした今、もう傍観者でいることは出来ない。学生連盟本部に向かったカルチはヴィキを探し、彼女を連れて家に戻った。そして二人は結ばれるのだった。翌朝、早く起きたヴィキは、息子を想う母の気持ちを感じ、カルチに何も告げず家をでる。ヴィキがいないことに気づき、カルチは家を飛び出す。国会議事堂前には大勢の市民が集まっていた。カルチはヴィキの姿を見つけるが、当局は市民に向けて無差別に発砲する。そして、銃弾がヴィキの腕を貫く。政府が混乱終結のために駐留ソ連軍の即時撤退、AVOの廃止と新たな警察の組織を決定した。ヴィキは、戦いが終わったのだからと、カルチにオリンピックへ行くよう薦める。ところが、メルボルンへ向かうバスの中から、信じられない光景を見る。それは、巨大なソ連の戦車が長い列をなしてブダペストに向かっていたのだ。ペストの街が火に包まれる。やがて、ヴィキは秘密警察に捕らえられてしまう。カルチとヴィキには、どんな運命が用意されているのか。